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その間は、ヒューイと会えなくなるのだ。
別れを惜しみながら、最愛のヒューイの寝姿を飽きることなく見つめ続けるサオリン。
その時だった。ふと気づく。
ヒューイの後ろ左足。
四本足の内、それだけが黄金に輝いている。素早く走れば、黄金の軌跡を流線型に描く。ヒューイのチャームポイントでもあった。
されども、その自慢の足にほんの僅かな異変が・・・・・・。ポツポツと紫色の斑点が浮かんでいるのだ。
(これって?)
嫌な予感が頭をよぎる。
魔物菌。
それがヒューイの足に付着しているのではないか。手にしたタオルでそっと左足を拭いてみる。だが、なかなかふき取ることはできない。泥などの汚れではない。毛先ではなく、皮膚にこびりついているかの様だ。
(どうしよう?)
明日にでも村の獣医に連れて行くべきだろうか。そう心配するも、同時に大きな不安がサオリンの胸を締め付ける。
(もし、魔物化したなどと診断されたら・・・・・・)
最近になって羊が数頭、魔物化の兆候が現れたとして殺処分されている。サオリンと異なり村人にとって、羊もキツネも違いは無いだろう。それは食堂の看板娘チドリの対応を見れば一目瞭然だった。
ゴクリとつばを飲み込む。
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