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「え? ここ高級レストランじゃん……いいの?」
「いいのいいの、杏と一度行きたかったんだ」
一生行かないと思っていたレストランにも手を引いてもらい、杏は充実した1日を送った。
「……杏、これ」
「ん? これは」
夜の街で祐梨はあるものを取り出す。
中を開けると高価そうなペンダントだった。
「これ……すごく高いよ……」
「うん……まあ」
祐梨は目を逸らしながらも目線を杏に戻る。
「杏に思い出に残るデートをしてあげたくて、お金が貯まるまで杏と会うの我慢しようと思って……心配した?」
祐梨の言葉に目頭が熱くなる。
「心配したよ……でも、本当に嬉しい。ありがとう……お、お礼しなきゃね」
「え? いいよいいよ」
「いやでも……」
杏は身を乗り出すと、祐梨は頭を掻き何かを思いついた。
「じゃ、じゃあ……俺に好きって言って?」
祐梨は頬を赤らめる。本当に初々しい……
杏は祐梨の手を握ると微笑んだ。
「祐梨、好きだよ」
祐梨の表情に杏も恥ずかしくなる。
「俺も好きだよ、杏」
祐梨は優しく杏を抱きしめる。
腕の中で杏はうっすら目を開け思う。
「ここまで私の為にしてくれたのに……いつかあなたは私の事を好きと言ってくれないだろう」
っと……
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