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「先生、今日から担当が変わるんですけど」
「え? 聞いてないですよ」
突然の事に呆然とする。
「突然、部署移動したいと言いましてね……少女漫画の編集部に行くとか言って」
「少女漫画……」
杏はやっと人気作家という名前がついた頃の時だった。
「で、これから新しい担当になるんですけど、新人の男性になります」
そう言って部屋から若い男性が出てくる。
「お、桃山! ちょうど良かった。横澤先生に挨拶しなさい」
「あ、よ、横澤先生。はじめまして、今日から先生の担当になる桃山です」
杏より1つ年下ぐらいの桃山が頭を下げる。
「よろしくね、桃山君」
彼との出会いは此処からだった。
「先生、原稿の進み具合はそうですか?」
「うん、私は大丈夫だけど……桃山君大丈夫?」
目の隈が濃くなっている桃山に思わず心配する。
「いや、大丈夫です。ちょっと締め切りを過ぎている先生がいまして……」
「あ、なるほど」
目を見開いて原稿を見る桃山に思わず手が伸びる。
「先生?」
伸びた手は桃山の頭に置かれる。
「頑張れ! 新人」
杏の言葉に桃山は笑みを滲ませる。
「はい!」
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