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「ご注文は?」
「あ、じゃあカプチーノで」
「はい、カプチーノね」
店長は杏に背を向け、杏はその姿をまじまじと見つめる。
「今日は人少ないね」
「まあ、こんな時間帯は少ないよ。横澤さんが最後に来た時は連休だったからね」
「連休? ああ、あの日は休みだったんだ」
杏の言葉に店長は笑みを滲ませる。
「作家さんは色々大変だねえ~。最近はどうなの?」
「最近? ああ、私の作品がアニメ化するんですよ」
「へえー! そりゃすごい」
店長の言葉に思わず頬を赤らめる。
「はい、お待たせしました」
店長の腕が杏に向かって伸びる。机にカプチーノが置かれると、杏は息を吹きながら口をつける。
「あ、横澤さん」
「はい」
「そういえばさ、あの彼氏とはどうなったの?」
店長の言葉に思わず目を瞬かせる。
「……ああ、別れました」
「ええ! そうなの? てことは今はいないの?」
「いや……新しい彼氏はいるんです」
杏の言葉に店長は思わず壁にもたれた。
「もう新しい彼氏いるの? いや~、羨ましいねえ。あの彼氏はもういいの?」
「ええ、もういいんです……」
杏は少し俯き、頬杖をつく。
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