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醜い
「人間とは醜いものか?それとも、美しいものか?」
「君はどういった気持ちでそれを問うている?」
「いやね、ふと気になったのだよ。僕の人間に対する価値観は他とどう違うのかな。」
「君も人間だろうに。たまに変なことを言い出すよな、君は。」
「それで、どう思う?」
「そうだなあ、」
美しくなびくその髪も
美しく濡れるその瞳も
美しく舞うその手足も
君をつくる肉も、骨も、細胞も
その全てが美しく、僕の胸を撃つ
しかし、なあ、僕には君の、心が見えないよ
君の心は美しいのか
醜いのかもしれない
どれだけ外見が美しかろうと
「やはり醜いのか」
「人によるだろうがね。僕は醜いと、まあ、思う。総合的に見ての話だ。」
「見た目と心の美しさはやはり違うものか。」
「そりゃあ、そうさ、君。」
「ふむ。では、見た目も心も美しい人間は存在するのだろうか?」
「それは最早、人間ではなかろう。」
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