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「はい、そうです。十六歳です。最後に家にいたのは昨日の夜です。はい、はい、すぐに伺います。」   女性は電話を切った後、車でどこかに向かった。帰ってきたのは、それから三時間後の事だった。 「どうだった? 何かわかった?」 「まだどこでも保護されていないって。捜索願を出してきたって、しのぶにはメールした。」 「そっか、ひょっこり帰ってくればいいけど。 俺も最近あいつと話をしていなかったから。ごめん。」 「パパが謝ることないよ。携帯は持って行ってるみたいだから様子を見よう。お金も持ってないんだから、すぐに帰ってくるよ。」 「何かに巻き込まれてなければいいけど……」  リビングで話す二人の会話を聞いている少年がいた。中学生ながらに、何が起きているかを理解していた。少年は彼、つい最近兄弟として加わってきた少年のことを嫌いではなかった。むしろ好意を抱いていた。新しい兄として受け入れて、新しい弟として受け入れてもらえていると思っていた。少年が絵をかいて、彼が話を作る。そうして漫画を作ったこともあった。それもすべて彼には苦痛だったのだろうか? 三人で兄弟として、そこに血のつながりはなくても、やっていけると思っていた。
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