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原案(あらすじ)
目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。
「夢を見てたのは…10分、てとこか」
翔は先月、奏人からMLMの仕事を紹介されていた。
奏人「電気・ガス・水道を最初に国が自分達のものとして押さえたのは何でだと思う?毎日使うものだからだよ。
『使う度にお金を支払う』って契約を最初にとっちゃえば、ずっとお金が入り続ける。権利収入ってやつだよ。
でも、毎日使うものって他にもあるだろ?洗剤とかシャンプーとか…『日用品』だよ。
だからMLMの会社は、国が押さえこぼした『日用品』をメインで扱っている所が多いんだ」
翔「なるほど…」
奏人「でも、今じゃ日用品のMLMも増えすぎて、権利に繋がりにくい。
オレがやってるビジネスは去年始まったばかりで、これを扱う権利を持っているのは、まだこの会社だけなんだぜ」
翔「何を扱ってるんすか?」
奏人「夢、だよ」
すっかり興味を持った翔は、「夢」を扱う権利を、入会費500万円を支払って購入した。
「夢」は、覚えていないだけで、ほとんどの人が毎日見ている。
「夢の権利を持つ」という事は、自分が紹介した会員が「夢」を見るたびに、自分に収入が入って来るのだ。紹介した会員が多いほど、夢を見る時間が長いほど、高い収入が入って来る。
翔は1カ月頑張ってみたが誰も入会せず、1ヶ月間のノルマである「夢見時間」100時間分をクリアするため、仕事の合間にわざとうたた寝して夢を見ていたのだ。
会員がいないのであれば100時間を自分でクリアするしかないのだ。
その後も会員を増やす事ができず、ノルマ達成のため、翔は睡眠薬に手を出すようになる。
ついには睡眠薬のとりすぎで、翔は帰らぬ人となってしまう。
葬式に参加した奏人は、棺の中の翔にニッコリ笑ってこう言った。
「…いい夢見ろよ、翔」
その後も、この「夢MLM」に関わった人間が、次々と人生を狂わされていくのだった…。
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