椎名康介【18歳・高校生】の場合。

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夕暮れのグラウンドには、 俺たち野球部の打球音や、 サッカー部のドリブルで土を蹴る音が響いている。 その泥臭い青春に華を添えてくれるのが、 校舎の廊下や音楽室で練習している、 吹奏楽部たちだった。 トランペットや様々な大きさの太鼓、 色んなものが混じって1つの曲を作り出す。 そんな素敵な音色を響かせる中心には、 君がいつもいる。 そんな君に聞こえるように、 今日も必死で声を出して練習する。 特別、何か取り柄があるわけじゃない。 打撃も守りもそこそこ、足も中の下。 でも君が応援してくれたら、 試合で活躍できる気がするんだ。 だからもし。 もし、願いが叶うとしたら。 最後の夏の大会、誰よりも近くで応援してほしい。 そして見守ってほしい。 「いつか甲子園で演奏したい」 その夢、叶えさせてあげるから。 だからもう少しだけ今は、 勇気を充電する時間をください。 そのために今日も俺は、白球を追っかけている。 夕暮れに舞う打球音と、 吹奏楽部の曲のハーモニーを聞きながら。
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