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夕暮れのグラウンドには、
俺たち野球部の打球音や、
サッカー部のドリブルで土を蹴る音が響いている。
その泥臭い青春に華を添えてくれるのが、
校舎の廊下や音楽室で練習している、
吹奏楽部たちだった。
トランペットや様々な大きさの太鼓、
色んなものが混じって1つの曲を作り出す。
そんな素敵な音色を響かせる中心には、
君がいつもいる。
そんな君に聞こえるように、
今日も必死で声を出して練習する。
特別、何か取り柄があるわけじゃない。
打撃も守りもそこそこ、足も中の下。
でも君が応援してくれたら、
試合で活躍できる気がするんだ。
だからもし。
もし、願いが叶うとしたら。
最後の夏の大会、誰よりも近くで応援してほしい。
そして見守ってほしい。
「いつか甲子園で演奏したい」
その夢、叶えさせてあげるから。
だからもう少しだけ今は、
勇気を充電する時間をください。
そのために今日も俺は、白球を追っかけている。
夕暮れに舞う打球音と、
吹奏楽部の曲のハーモニーを聞きながら。
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