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「あの店で出会ったときから似てるって思ってた。仕草とか表情とかぜんぶ……他人の空似かなって思ったときもあったけど、話してるうちに確信した……奈緒なんだろ?」
彼はその名前を呼んだ。彼女は黙り込んでいる。その間も、ふたりはお互いに見つめ合っていた。噴水の音がする。すると、龍平さんはその音に吸い込まれるように奈緒に顔を近づけていった。
すかさず絵里さんを見る。恐ろしいほど何もしない。龍平さんの顔はどんどん奈緒に近付いてく。
まじめで仕事熱心な龍平さん。
友達想いで、しっかり者の奈緒。
どちらもよく知ってる人物のはずだった。
私の鼓動は速くなっていく。
どうやら、恋愛が絡むと、人は全く違う姿になってしまうらしい。私は数秒後の友人の姿を想像するのが怖かった。
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