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(1)
とんとんっ。
いきなり後ろから肩を叩かれ、私は咄嗟に振り向いた。そこには、先ほどまで教壇に立っていた先生がいた。
「これ」
そう言って彼が差し出してきたのは、シャーペンだった。それを見て私は慌てて筆箱を探った。すると、彼は再びシャーペンを突き出してそれを受け取るように催促してきた。私は、しぶしぶ手を伸ばす。
「……ありがとうござ」
ぽんぽん。
次の瞬間、頭上に手を置かれた。
手を置いた状態で彼は微笑む。
「今度はなくすなよ」
そうして、颯爽と私の前から立ち去った。
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