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イチガツ×ツイタチ
俺の14歳の誕生日、元旦に婆ちゃんが亡くなった。
婆ちゃんが俺に残してくれたのは遺言状でなく、バースデーカードとお年玉の入ったポチ袋だった。
***
婆ちゃんの娘の息子である俺は、婆ちゃんにとって初孫だった。
それはもう可愛がってもらった。幼少期の頃は勿論、小学校に上がって悪ガキと化した俺の事も叱るのは親の役目、婆ちゃんの役目はお前を可愛がることだ。と、言葉通りに甘やかしてくれた。
当然、人を傷つけるような事は決して許さなかったが、それでも叱り飛ばす事無く優しく諭してくれた。
婆ちゃんは俺の事が大好きだった。
そんな俺も婆ちゃんの事が大好きだった。
婆ちゃん……俺、14歳になったよ? 婆ちゃんとは丁度50の差だから、今年で64歳だよね? 眠るにはちょっと早いんじゃないかな? それに、お祝いの言葉も、お年玉も貰ってないよ。
婆ちゃんに会えるのと、お年玉を貰うことを楽しみに1年を過ごしているのに。
「真斗。ご飯の支度出来たからおいで」
背後から遠慮がちに掛けられた声に、思わずびくりと肩が震えた。
「……うん」
小さく答えた俺に、母さんは真っ赤な目をして微笑んだ。
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