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23歳になった咲子。
大みそかの夜、来年はまた年女だ。
月明かりが照らす部屋の中、犬が動き出す。
『ねえねえ』
もう咲子は驚かなかった。
それは咲子が大人になったこと以外にも理由があった。
咲子は、その声が誰か理解していたからだった。
「なあに?」
『ねえねえ、覚えてる?』
「何を?」
『君が12歳の時のこと』
ここ数年咲子はこう語りかけられて、しっかり頷いていた。
それは、もちろん咲子自身が覚えていることだからだ。
でも・・・・・・
この夜咲子は首を横に振った。
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