花ほころぶ

11/14
前へ
/14ページ
次へ
23歳になった咲子。 大みそかの夜、来年はまた年女だ。 月明かりが照らす部屋の中、犬が動き出す。 『ねえねえ』 もう咲子は驚かなかった。 それは咲子が大人になったこと以外にも理由があった。 咲子は、その声が誰か理解していたからだった。 「なあに?」 『ねえねえ、覚えてる?』 「何を?」 『君が12歳の時のこと』 ここ数年咲子はこう語りかけられて、しっかり頷いていた。 それは、もちろん咲子自身が覚えていることだからだ。 でも・・・・・・ この夜咲子は首を横に振った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加