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咲子が目を覚ますと、また朝がやって来ていた。
新しい年の朝だった。
その日差しに照らされている干支の置物たちはどれも優しい笑顔をしているように見えた。
ねずみ、うし、とら、りゅう、へび、うま、ひつじ、さる、とり、いのしし。
そして2頭のいぬ。
あの年、咲子が12歳になる年。
お正月はいつものように家族全員で迎えていた。
そしてお年玉をもらった。
それを持って家族で買い物にも出かけた。
それなのに、1月のある日、突然父親は亡くなってしまった。
信じられなくて、意味が分からなくて・・・・・・
呆然とした、混乱した、そしてただただ悲しかった。
そんなある日見つけたのが、あの犬の置物だった。
どこか父を思い出させるような優しい笑顔だった。
だからあの犬の置物を買ったのは必然だったとも咲子は思えた。
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