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咲子は、あれがただの夢だったのか、それとも違うのかはっきりとは分からなかった。
迎えるお正月が悲しい思い出に重ならないように、あの犬の置物との出会いと不思議な夜はあったのだろうか。
でも、その次の年、あの雑貨屋へ向かったがもう店はなくなっていた。
それは、これからは咲子自身が思い出を紡ぎ続けなければいけないのだ、そう思われた。
『咲子という名前は、咲子が生まれた時にみんなが花が綻ぶように笑ったからつけたんだ。
それと、みんなのその笑顔が咲き続けるように、咲子が笑顔を咲かせ続けられるようにと願ってつけたんだよ』
いつか父が話してくれた言葉が思い出されていた。
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