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お年玉。それは俺にとって単なる通過儀礼などではない。
戦い。そう、戦いなのである。
子どもの頃は特に何とも思わなかった。特に何かを成し遂げたわけではないのに、ただ正月だからという理由だけで金が手に入るラッキーなイベントくらいにしか考えていなかった。
しかし、大人になった今なら分かる。お年玉というイベントの脅威を。
おそろしさを。
無論、金と言うものは無限にあるわけではない。そして、それを得るには当然労働が必要だ。
その労働の対価たる金を、意味もなく分け与える。よくよく考えてみるとこれはとんでもないイベントではないだろうか。
それだけではない、正月というのは金がどんどんなくなる時期でもあるのだ。事実、年末年始に立て続けに開催された忘年会に、俺の財布は連日悲鳴を上げていた。その上、何の理由もなく搾取されてしまっては、もはやお手上げである。
だから、俺はこの戦いに勝たなければいけない。
この戦いにおける勝利。それはもちろん『いとこにお年玉をやらないでうまく正月をやり過ごす』ということだ
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