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お年玉。それは私にとって単なる通過儀礼などではない。
戦い。そう、戦いなのである。
子どもの頃は特に何とも思わなかった。親戚の人からなぜか渡されるお金。だけどそれはもれなくお母さんによって搾取されるか、もしくは銀行預金へと変わってしまったからだ。
しかし、高校生になった今なら分かる。お年玉というイベントの重要性を。
重大さを。
お金と言うものは無限にあるわけではない。そして、それを得るには労働かもしくは家族からの融資が必要だ。
しかし、高校生にもなると、自分が欲しいものがあれば、ある程度自分でお金を稼がなくてはいけない。いつまでもお小遣いをもらっているような年齢でもないのだ。
だけど、だからと言ってたくさんお金を稼げるわけでもない。バイトと言っても一番稼ぐことができる深夜の時間帯に高校生は働くことができないし、何より『高校生は学業が最優先』という社会通念がある手前、働くことだけに全ての力を注ぐわけにはいかないのだ。
つまり、高校生と言う時期はある意味お金を稼ぐには何かと面倒な時期でもあるのだ。
それだけではない、女子高生と言うのは男子高校生よりもお金がかかるものなのだ。交際代や美容代はもちろん、プリクラ代やコスメ代、洋服代もバカにならない。友達の間で流行っているものがあればもちろんそれも買わなければいけない。お金はいくらあったって十分すぎることはないのだ。
だから、私はこの戦いに勝たなければいけない。
この戦いにおける勝利。それはもちろん『いとこのお兄ちゃんからお年玉をもらう』ということだ。
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