開戦

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開戦

子どもの頃は正月という時期は、ちょっと親戚の家に顔を出してお年玉をいただく気楽なイベントだったが、大人になるとそうはいかない。やはり飲酒ができるようになるということは、それすなわちこの正月の過ごし方も大きく変化するということであって。 「あけましておめでとう。まあ飲みなさい」 「おめでとうございます。いただきます」 ここは、父親のお兄さん、つまりは叔父さんの家である。リビングのまん中にあるこたつに入り、向かいに座っている叔父さんがビールの瓶をこちらに傾けてくる。 正直ビールの苦みはあまり得意ではない。しかし、会社の飲み会でも上司の飲みに付き合うことがあるので、気持ち悪くならない程度には付き合うことができる。 少し離れたキッチンからは叔母さんと、いとこの留美が料理をしている声が聞こえてくる。今のご時世、女性だけにこういった仕事をさせるのは多少心に引っかかるところがあるが、叔母さんと留美が台所に入れてくれないのだから仕方がない。 朝から飲酒ができる喜びからか、叔父さんが必要以上に機嫌よさそうに豪快に笑う。 「それにしても、立派になったなぁ泰弘君は。どうや?仕事の方は」 「1年目はきつかったですけどね。仕事そのものにはだいぶ慣れましたけど、安月給なもんで」 「そりゃまあ最初のうちは仕方無いやろなぁ。でも、貯金はしとるんやろ?」 その問いかけに、俺の脳はフルマックスで高速回転する。その結果、あるとっておきの作戦が思い浮かんだ。
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