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※※※
おせちも雑煮も食べ終わり、叔父さんと俺と留美の3人でこたつに入りのんびりとしていたところ。
「お兄ちゃん」
不意に俺の右斜め前の留美が声をかけてきた。
それにしても彼女も女子高生になってから、だいぶ垢ぬけたように見える。中学校まではソフトボールをやっていたこともあって、ベリーショートで活発な女の子だったが、今では髪の毛もだいぶ長くなり、化粧っ気がある顔になってきた。
「おう、どうした?留美」
俺が返事をすると、留美が満面の笑顔を見せる。
「お父さん、お兄ちゃんの事なかなか離してくれへんのやもん、さっきは全然話せへんかったし、ちょっとお話しようと思って」
「そりゃ悪かったな。学校楽しんで行ってるか?」
「うん。楽しいよ。やっぱお兄ちゃんと同じ学校に行って良かった」
う…。この朴訥な何の混じりけのない笑顔。まぶしい。まぶしすぎる。
思わずなでなでしたくなってしまった。
しかし、そんなことをしたら、俺が不利な状況に立たされてしまうことは言うまでもない。ここは話題を逸らせた方がいいかもしれない。
「えへへ、それじゃ今年一年頑張ったお兄ちゃんにご褒美あげようかな」
「え?ご褒美?」
しかし、俺が言葉を発する前に留美の口から飛び出たその言葉に、俺はついつい前のめりになってしまった
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