開戦

3/7
前へ
/12ページ
次へ
※※※ おせちも雑煮も食べ終わり、叔父さんと俺と留美の3人でこたつに入りのんびりとしていたところ。 「お兄ちゃん」 不意に俺の右斜め前の留美が声をかけてきた。 それにしても彼女も女子高生になってから、だいぶ垢ぬけたように見える。中学校まではソフトボールをやっていたこともあって、ベリーショートで活発な女の子だったが、今では髪の毛もだいぶ長くなり、化粧っ気がある顔になってきた。 「おう、どうした?留美」 俺が返事をすると、留美が満面の笑顔を見せる。 「お父さん、お兄ちゃんの事なかなか離してくれへんのやもん、さっきは全然話せへんかったし、ちょっとお話しようと思って」 「そりゃ悪かったな。学校楽しんで行ってるか?」 「うん。楽しいよ。やっぱお兄ちゃんと同じ学校に行って良かった」 う…。この朴訥な何の混じりけのない笑顔。まぶしい。まぶしすぎる。 思わずなでなでしたくなってしまった。 しかし、そんなことをしたら、俺が不利な状況に立たされてしまうことは言うまでもない。ここは話題を逸らせた方がいいかもしれない。 「えへへ、それじゃ今年一年頑張ったお兄ちゃんにご褒美あげようかな」 「え?ご褒美?」 しかし、俺が言葉を発する前に留美の口から飛び出たその言葉に、俺はついつい前のめりになってしまった
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加