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「うん。こっち来て」
留美がこたつから出て、俺の手を引っ張っていく。その力はさほど強くないけれど、可愛いいとこに来いと言われたら行かないわけにもいかず、俺はするするとこたつから出てしまった。
叔母さんは奥の部屋で掃除中、叔父さんはテレビに夢中なようでこちらを気にする様子もない。
まずい。これはまずいぞ。これでは叔父さんと叔母さんの抑止力が無効になってしまう。いざとなったときにあの二人に止めてもらうことができなくなってしまう。
…いや、冷静になれ俺。いくら可愛いいとことは言え、もう一度俺の懐事情が厳しいことを伝えれば、彼女だって分かってくれるはずだ。
「はい、ここにうつぶせになって寝て」
彼女が連れてきたのは彼女の部屋だった。しばらく来ない間に、随分女子高生らしい部屋になったものだと能天気なことを思ったのも束の間。
「え?何するんや?」
「マッサージ。ほら早く!」
「なにいいいいいいい!」と口から出かかった言葉を何とか心の中だけで押しとどめた。
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