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ふふふ。どうやら陥落まであと一歩みたいだねお兄ちゃん。名付けて「可愛いいとこからのマッサージ!えーいお年玉あげちゃうぞ作戦」の威力を甘く見たらだめだよ。
ここで耳元で「ねえお兄ちゃんお年玉ほしいなぁ」とか囁いたら、もうイチコロだろう。…まあ、ちょっと恥ずかしいけど。
でも、お年玉には替えられない。私は意を決してお兄ちゃんの耳元に顔を近づけようとした。
そんな時だった。
「ちょっとお邪魔するでー。…あらあら相変わらず仲の良いこと」
勢いよく開くドアの音と元気のよいお母さんの声が部屋中に響いたのは。
「お母さん、どうかした?」
あとちょっとだったのに…と思いながらも、その感情を表には出さないようにしながら、お母さんの方を見ると、その腕には見覚えのある物体が包まれていた。
「ちょっとこれ見てよ。懐かしくない?」
お母さんがこちらに差し出したのは小さなテディベアだった。一見すると何の変哲もないぬいぐるみ。だけど、それを見た瞬間から確かに私の中でじわじわとある感情が顔をのぞかせてきていた。
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