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3月最初の金曜日。
この日、加賀百々は胸に造花のピンクの花をつけていた。
18歳、3年間通い続けた県立高校の、今日が卒業証書授与式だった。
教室では、久しぶりに会った級友たちと、話が弾む。
進路先によっては、年を越す前に大学に合格し、必要最低限の登校しかしなくなった友人もいる。
センター試験を受け、二次試験を終えているものの、合格発表がまだの国立大学組。
百々の友人たちも、それぞれの道を歩むことになっていた。
「友紀恵ちゃん」こと友紀恵は、推薦で県内の国立大学へ。
「比美ちゃん」こと比美は、関東の公立大学へ。
「めっちょん」こと恵美は、途中から進路を変更して県内の短大へ。
「のの子」ことのの子は、早い時期で国公立大を諦め、自分の偏差値に見合ったところを探して東京の私立大学へ。
地元に残る親友は、2人だ。
集まれば、引っ越しの話や入学まで提出しなければならない課題の話、センター試験以降通い始めた自動車学校の話など、話題が尽きることはない。
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