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百々がまた無茶なことをしようとしている、自分では止められないと、一子に進言したのだ。
にもかかわらず、逆に百々の背中を押されてしまった。
「ほほほ。まあまあ、香佑焔様ったら。過保護すぎますよ。でも、百々ちゃんのことを心底心配してくださってありがとうございますねえ。おほほほほ。」
神使である香佑焔に怒鳴られて、一子は扇子で口元で隠し、一応は感謝の言葉を口にするも、おかしそうに笑っているのであまり真剣みがない。
香佑焔が過保護ならば、一子は実戦で百々を鍛えるスパルタ式。
放任とはまた違うが、まずはやらせる方針だ。
そこにあるのは、百々への信頼であり、彼女自身の誠実さとか素直さという性格の肯定というより、彼女の受け継いだ在巫女としての資質への期待でもあった。
「だって、ねえ?うふふふ。」
いつまでもおかしそうに笑う一子に、香佑焔は不機嫌の一途を辿る。
苦虫を噛み潰したかのようなその顔に、一子もようやく扇子を下ろした。
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