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一子の私室に入り、廊下の障子戸を閉める。
一子と向かい合う形で正座すると、音もなく香佑焔が部屋に入ってきた。
その顔を見て、百々は香佑焔がものすごく不機嫌であることがすぐにわかった。
だが、それに負ける百々ではない。
「香佑焔!大おばあちゃんに言ったでしょ!何で心配させちゃうかなー!」
神使である香佑焔に、強気に出る百々。
幼い頃から一緒にいて、それが当たり前のようになっているので、言葉にも遠慮がない。
一子でさえ、香佑焔に「様」をつけるのに、百々は呼び捨てだ。
「当然のことだ!私があれっだけ!あれっほど制止したというのに、それを無視しおって!」
「もー、後ろからうるさいうるさい!友達の声が聞こえないかと思った!みんなには香佑焔が見えてないんだから、もうちょっと控えめにしてよ!」
「だいたい、私と話すのにトイレとはどういうことだ!そのような不浄な場所で!」
「御守りとどこでしゃべれって言うの!もう!」
これではきりがないと、一子は笑いながらも二人の口論を止めた。
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