東雲からの依頼

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ゴールデンウィークが明け、百々の日常の生活リズムが変わらない単調なものになって数週間。 6月も半ば、ときおり降る雨に、そろそろ梅雨だろうかと梅雨入り宣言を待つ頃。 いつものように早朝に目を覚まし、一子の部屋で共に白湯を口にし、散歩に出掛けて四つ辻で手を合わせ、帰宅して朝食をとる。 その後、一子に渡された本を読むこともあれば、一子に伴われて初めての神社に連れていかれることもある。 以前習った方がいいと言われた書道も、一子のつてでどうやら近所で通えそうなところがあるらしい。 あちらのお答え待ちなんですよと言われ、やっぱり筆ペン習字を通信教育で身に付けるだけじゃだめかーなどと、百々は習い事を受け入れる気になっていた。 そんなある日。 「百々ちゃん。明日、東雲さんがこちらにみえるそうですよ。」 夕食の席で一子に言われ、百々はえっと驚いた。 そんな知らせは、百々の方には届いていない。
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