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「私が生まれるずっと前のことならば、知らないことも多いでしょう。でも、今のままではわからないではすまされないでしょうねえ。」
東雲から、相談を持ちかけられてしまった。
それを、一子は四屋敷の当主として受けてしまった。
だから、昔のことだからとわからないまま終わりにすることはできなかった。
「百々ちゃんが感じた違和感の半分はね、答えられると思うの。」
「えっ、ほんと、大おばあちゃん!」
百々は思わず膝を乗り出した。
それを、一子がほほほと笑って、扇子を前に出して押し止める。
「もう半分は、もう少し調べないとね。だから、百々ちゃん。」
ーーもう一つ、お使いをお願いーー
「ええー!」
百々の口から、不満の声があがっても仕方ないだろう。
警察学校の制服を着させられ、小学校に行って泣かば強引に林を見せてもらって、帰ってきてからそれほど時間は経っていない。
なのに、もう一ヶ所に行けと言うのだ。
それを聞いていた利永がぼそりと「おばちゃん、相変わらずえげつないほど人使い荒い。」と呟いた。
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