違和感

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「あらあら、こんなことに利永くんを駆り出すなんて。」 「おばちゃん。すでに制服を調達させた段階で、遠慮なんかないだろうがよ。」 「そんなことありませんよ。じゃあ、お願いしようかしら。たぶん、ここからだとバス一本では行けないと思うの。もうすぐ七恵がお菓子を買ってきますから、百々ちゃん、それを持っていってちょうだい。」 母の買い出しは、そのためのものだったかと百々は納得がいった。 そして、買い出しに行かせたということは、やっぱり今日私を行かせる気満々だったんじゃんと、一子の手回しのよさと利永いわく荒い人使いの両方に妙に感心した。 「七恵にお願いしたのは和菓子だったのだけれど、洋菓子の方がよかったかしらね。お若い男性は、どちらが喜ばれるのかしら。」 あとは七恵が戻ってくるのを待つだけとなり、全員の湯飲みに茶を注ぎ足しながら、一子が何気なく呟いた。 若い男性、と百々がそれを聞き逃さず同じように呟く。 年齢とか性別なんかじゃなく、どこにお使いに行けと言っているのか、そっちの情報が欲しいなと思っていると。
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