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「自分が行きます。」
突然、東雲が発言した。
ちょっとびっくりして、百々が東雲を見る。
利永も、ほう、と小さな声をあげた。
東雲の表情は、相変わらず変化がない。
「あらあら、でも東雲さんもお疲れでしょうに。今度は学校ではありませんもの。利永くんに任せてもいいのよ。」
一子だけが、楽しそうににこにこしている。
「いえ。百々さんの担当は、自分ですんで。」
きっぱりと言い放つ東雲に、そんなこと気にしなくてもと百々は言いかけたが、それを利永が遮る。
「そう言ってくれると助かる。年寄りをこき使おうとするなんざ、おばちゃんだけで十分だ。若者、頼む。」
「え、ちょ、でも、東雲さんも疲れて・・・」
「疲れていません。」
あまりにきっぱり言うので、百々は困って一子を見た。
学校は、東雲が何度も訪れているので一緒に行ってもらったが、次に行くところは百々だけでもいいだろうし、せっかく送ってくれるというのなら利永でもいいのではないかと。
百々としては、これ以上東雲に迷惑をかけるのは申し訳ないという気持ちが大きかった。
ーーそれに、みっともない制服姿見せちゃったしーー
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