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玄関の方から、ただいまぁ、と七恵の声がした。
「じゃあ、このままお母さんからお菓子受け取って行ってくるね、大おばあちゃん。」
「それがいいわ。今回の件は、それほど時間をかけるようなものではありませんし、かかったとしてもきっと大した問題はないでしょう。ただ、一つの疑問を除けば。」
どうやら一子の中では、ほとんど解けてしまっているらしい。
残された疑問というのがひっかかるが、おそらくそれは百々に託されるものなのだ。
「それで、どこの神社?私も行ったことある?」
「たぶんないでしょうねえ。同じ区内でも、そのすべてにあなたを連れていっているわけではありませんもの。」
一子は、神社の名を告げた。
境戸(さかいど)神社。
御祭神は、天照大神、大国主命、そして。
「豊受大神(とようけのおおかみ)様にお伺いなさい。」
天照大神ではなく、大国主命でもなく、豊受大神でなければならない理由がある。
そのことも百々は知らなければならない。
すべてが修行ーー次代であるための。
百々は、母から手土産にするお菓子を受け取るために立ち上がった。
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