違和感

49/49
12557人が本棚に入れています
本棚に追加
/912ページ
玄関の方から、ただいまぁ、と七恵の声がした。 「じゃあ、このままお母さんからお菓子受け取って行ってくるね、大おばあちゃん。」 「それがいいわ。今回の件は、それほど時間をかけるようなものではありませんし、かかったとしてもきっと大した問題はないでしょう。ただ、一つの疑問を除けば。」 どうやら一子の中では、ほとんど解けてしまっているらしい。 残された疑問というのがひっかかるが、おそらくそれは百々に託されるものなのだ。 「それで、どこの神社?私も行ったことある?」 「たぶんないでしょうねえ。同じ区内でも、そのすべてにあなたを連れていっているわけではありませんもの。」 一子は、神社の名を告げた。 境戸(さかいど)神社。 御祭神は、天照大神、大国主命、そして。 「豊受大神(とようけのおおかみ)様にお伺いなさい。」 天照大神ではなく、大国主命でもなく、豊受大神でなければならない理由がある。 そのことも百々は知らなければならない。 すべてが修行ーー次代であるための。 百々は、母から手土産にするお菓子を受け取るために立ち上がった。
/912ページ

最初のコメントを投稿しよう!