境戸神社

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駐車場に車を停め、百々と東雲は降りた。 国道沿いにあるこの神社は、規模としては大きくも小さくもない、地域に溶け込んでいる風に見えた。 小さければ、社務所がなく、神職が在中していない社である可能性もあった。 むしろ、そちらの方が圧倒的に多い。 神社の数に対し、神職の数はまったく足りていなかった。 「なんだか、柔らかい雰囲気の神社・・・」 百々は駐車場から神社の拝殿があるであろうと思われる方を向いて、ぽつりと呟いた。 道に面している鳥居を潜って階段を上っていく造りになっている拝殿は、木々に隠れて見えない。 それでも、木々で暗く閉ざされている雰囲気はなかった。 清々しく落ち着いた空気を、百々は感じた。 きっと、日頃からきちんと祈られ、清められ、地域の人々からも詣でられて大切にされているのだろう。 開け放たれて訪れるものを穏やかに迎え入れようとする雰囲気を、百々は心地よく思った。
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