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東雲が借りているアパートも、見ることができた。
着替えてきますという東雲に、部屋を見せてくれとはもちろん言えるはずもなく、百々はおとなしく助手席で待っていた。
そっか、ここに住んでいるのか、東雲さんーー
そう古くも新しくもなく、おそらく単身者が対象であろうこじんまりしたアパートの2階。
かつて自分からの電話を受けて、あそこから飛び出してくれていたのかと思うと、自然に頬が熱くなる。
「遅くなってすいませんでした。」
十分短い時間で着替えを終えた東雲が、運転席に戻ってきた。
「境戸神社ですね。」
東雲は、一度訪れて御朱印をいただいたことがありますと言った。
趣味が御朱印集めなので、ある程度市内の神社は把握しているらしい。
そういう意味では、東雲は送迎にふさわしかった。
百々は、初めての神社なので、東雲の運転に任せている。
そして、二人は境戸神社に到着した。
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