12564人が本棚に入れています
本棚に追加
/912ページ
階段を上りきると、またしても建つ鳥居の前で一礼する。
それを潜ると、百々はすぐ横の建物に気づいた。
「わあ・・・神楽殿がある。」
神楽殿。
神楽舞いや楽を奉納するための舞台。
かなりの年数が建っているように見えるそれがある神社なのだ。
奥の拝殿を挟んで反対側には舎務所があり、そこで御守りやお札、祈祷の受付をしている。
何人も神職が勤めている佐々多良神社ほどの規模はなく、かといって無人の小さな社よりは大きい、そんな神社。
こじんまりしながらも、きちんと掃き清められている境内は、歩いていて気持ちがよかった。
狛犬の前を通り過ぎようとして、百々はあれ、と思った。
そういえば、今回の件を東雲が持ち込み、一子がそれを受けて、百々がこうやって小学校や境戸神社を訪れているのだが。
いつも何かしら口を挟んでくる香佑焔が、静かだった。
もしかして御守りを自宅に忘れたかと、どきりとしながらポケットを探れば、いつものようにそこに御守りは入っていた。
最初のコメントを投稿しよう!