12564人が本棚に入れています
本棚に追加
/912ページ
香佑焔、どうしちゃったんだろう。
急に御守りを取り出して話しかけるというのも憚られていると、百々の動きが不審だったのか、東雲の方から声をかけてきた。
「どうかしましたか。」
「あ、いえ、えっと。」
当然、東雲に香佑焔の姿は見えず、声も聞こえない。
それでも、百々は香佑焔のことを東雲に打ち明けていたし、東雲もそれを否定したり笑ったり気味悪がったりしなかった。
だから、今回百々は思いきって香佑焔のことを話した。
「香佑焔が、静かすぎて・・・」
東雲がわずかに首を傾げる。
「いつもは、他の神社に来ると、うるさいくらい話しかけてきたり、作法がなってないとか文句を言ってきたりするんですけど。」
『無礼な。おまえに必要な躾をしているというのに、うるさいとは何事だ。』
「ひゃっ!」
やぶへびだった。
突然香佑焔に厳しくたしなめられ、百々はしゃっくりのような短い叫び声をあげ、すぐに恥ずかしさで赤くなった。
最初のコメントを投稿しよう!