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「センサーで作動しているかと。」
「センサー・・・もしかして、人がお詣りしにここに来ると、自動的に鳴るようになってるの?」
それって、雰囲気作りって言っていいのか、ハイテクと言っていいのか、いやむしろ参拝客を驚かせているんじゃ、と思いながら、百々は困惑しながらも頭を二度下げた。
手を胸の前で二度打ち合わせる。
そのまま目を閉じると、すうっと意識が拝殿の中だけに自然と向くのを感じた。
ああーーちゃんとご挨拶しないと。
ちゃんと迎えてくださっているからーー。
きちんと祈られ清められているこの神社は、間違いなく正しく神の力の恩恵を得ている。
ここには、正しく人間が神と呼ぶ力が流れている。
百々は、心の中で今自分にできる精一杯の誠意を込めて伝えた。
神様、神様ーー天照大神様、豊受大神様、大国主命様
この神社に奉られている祭神の名に語りかけると、百々はまず自分はどこそこに住まう四屋敷百々だということを告げる。
いきなり自分の頼み事だけを願う人間もいると言うが、それはあまりに失礼だといつも百々は思う。
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