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「あー、うん、でも、何か違うかなって。」
人々の信仰が集まる神の力は、それだけで増す。
それほどに力があるのだ。
人の強い思念は。
そう考えると、伊邪那美命を選ばない以上に、現代の世においてこれほど多くの参拝者を集める稲荷の神に助力を願い出るのは、百々も怖い気がしたのだ。
それに、宇迦之御魂神を選ぶと、香佑焔がうるさいだろうなと百々は思ったのも確かである。
「私は罔象女神(みづはのめのかみ)様にお願いしようかなって。」
みづはのめのかみーーーそれは、水を司る女神。
伊邪那美命より生まれた神で、一子に力を借してくれる神大市比売神の父、大山祗神と母を同じくしている兄妹神となる。
「ちゃっかり天照大神なんて言いたくなっちゃったけど、堅実に行こうかなって。」
「あらあら。ほほほ。」
どこが堅実なものか、それを知っている一子は、おかしそうに笑った。
伊邪那岐命、伊邪那美命に近ければ近いほど、その後生み出された神々とも多くの血の繋がりが出来る。
力を振るうには、その方がいいのだ。
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