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3月最後の日曜日の早朝。
もう4月になろうかというこの時期だというのに、前日の夕方から夜中にかけて雪が降った。
うっすらと積もる程度で、しかもその後雨に変わったらしく、足元が溶けかけた雪でぐしゃぐしゃだった。
いつも小学校や中学校の卒業式の頃に、ぐっと冷えるんだけど、今年はそれが少しずれこんだ感じかなあと、百々はコートのボタンを首元までしっかり留めた。
「本当についていかなくていいんですか、百々さん。」
百々がブーツを履いていると、丈晴が心配して尋ねてきた。
昨夜から既に10回以上聞かれている。
「もー、心配しなくってもいいってば!」
「ですが!こんな朝早く、道も悪いし、市外へ行かなくてはならないし・・・」
「朝早いのは、人があんまりいない時間帯を狙ったからだもん。深夜に神社に行くなんて、よほどのことがなきゃいやだし。」
今日、百々は県内のある神社に詣でることになっていた。
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