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しかもそれが50年以上も前のことなのだから、一子の言う大変は、本当にそうだったのだろう。
夜行列車に乗って行ったのだと聞き、百々はいいなぁ旅行できて、などと思ってしまった。
それが顔に出ていたのか、それとも一子の勘がよすぎるのか。
「ほほほ、いやですよ、百々ちゃんたら。こんなこと羨ましがって。」
「だって、大おばあちゃん、京都旅行だよ!?しかも、自由に行動できるんだよ!?最高!」
「あなた、修学旅行で行ってきたじゃあないの。」
「時間制限ありで、しかも集団行動、全然自由じゃなかったし、行きたいところの半分も行けなかった!」
「私だって、京都で寄ったのは神社一つっきり。その足で、すぐに帰ってきたんですからね。」
「もったいない!!」
「若かったからできたのねえ。二泊とも列車の中だなんて。」
女学校を出てすぐに行ったから、あなたと同じ年齢でしたよと言われ、さすがの百々もそこまで余裕のない旅行はしたくないと思った。
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