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史生と別れて帰宅した百々は、さっそく一子に報告した。
毎朝散歩コースで通っている辻に関わっているということに、一子の笑みが深くなる。
話しながら、百々は室内の空気がじわりと重くなってきたのを感じた。
大おばあちゃん、これ、怒ってるんだよねーーー
あくまでも笑顔で、徐々に上がっていく両の口角。
にもかかわらず、目はまったく笑っていない。
百々はその時いきなり理解した。
天啓のように、それは百々に降りてくる。
禁忌。
決して触れてはならない、侵してはならないもの。
あの四つの辻がそうなのだと。
「お、大おばあちゃん・・・」
「パワースポットというものは、そこからよい力を得るのでしょう?あの辻から?ほほほ、そんな話があるなんて、なんて面白いんでしょう。ああ、おかしいこと、なんて愚かな。」
笑っておきながら、その内から滲み出る怒りは壮絶で、百々は皮膚の表面がぞわぞわして動けない。
稀代の在巫女と呼ばれる一子にここまで言わしめる「辻」の存在理由とはいったいーーー
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