禁忌の領域

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ただ、高校生の時に修行について疑問をはさんだところ、一子から手痛いしっぺ返しを食らっていた。 同じ家で生活し、自分がすることを見ていたのに、何も学んでいないと言うのかと。 神社での修行という名目で3年間史生の家に預けられていたことも同様だった。 つまり、あの3年間も、今の生活も、すべてが修行だということになる。 自分が意識していないだけで、修行になっているのかなと、百々は心の中で首を傾げていたが、なるべくそれを口にしないようにしていた。 だから、史生の質問にもはっきり答えることはできない。 やがて、東雲から連絡が来た。 久保がやりとりしていた相手について厳密に調べるには、公的に事件性を明らかにしなければならず、四屋敷のことが伏せられている現状では、退会しコメントも削除している相手について同僚にこれ以上頼めないとのことだった。 まったく力になれておらず、申し訳ないと、わざわざ自宅に来て頭を下げる東雲に、百々はこちらこそ無理をさせてしまってごめんなさいと慌てて謝り、一子もそれに同意した。
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