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代わりに、百々と一子が見やすいように、久保が相手とやり取りした際に残したコメントだけを抜き出して、プリントアウトしてきてくれた。
それを手渡され、百々は一子と並んでそれを読み上げた。
特に、辻に関して相手とやり取りした最終日。
『見つけた!本当にあった!あなたの情報は真実だった。』
『そう、確かめてくる。あそこには、昔神社があったんだろう?名のある神が、封印されているんだよな?』
『封印は合ってる?解放したら、パワーも復活するのか?』
『石か。壊す?』
『そう刻めばいい?』
『任せろ。俺が最初にパワーの恩恵を受けてみせる。』
「刻むって、あの石にだよね。」
久保は鑿を持っていた。
石に傷をつけていたのも知っている。
ただ、まだそれは判別できるほどのものになっておらず、模様なのか字なのかわからなかった。
これまでの人生で鑿など使っていなかったであろう、腕の力も弱そうな久保が、夜中に懐中電灯の明かりの中で短時間で意味のなるものを彫り切れるとは到底思えない。
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