会合

2/55
12557人が本棚に入れています
本棚に追加
/912ページ
「やあやあ、お孫ちゃん、お久しぶり。お母様、相変わらずお元気で何よりです。介護認定が必要でしたら、いつでもお声掛けください。よいところを紹介させますよ。」 異様に明るい声が四屋敷邸の一子の私室に響いたのは、東雲が百々たちに久保のことを最後に報告してから10日ほど経ってからだった。 とんでもなく失礼な言葉を、挨拶に混ぜて放ってくるこの男は、高見駿。 百々の亡き祖母のかつての部下で、現市長という、れっきとした地位のある男だった。 実父が亡くなり、百々が母と共に四屋敷邸に移り住んでから、何度も会っている。 いまだに祖母の命日に訪れて、おいおい嘆いてくれるからだ。 その祖母との関係や、高見の実態について、百々が知ったのは高校時代。 高見は、ただの部下ではなかった。 祖母のストーカーを経て、自ら忠実な下僕と称するまでに心酔し、亡くなった今も執着し続けるという異常ぶりだ。 しかも、ストーカーについては筋金入りだと自慢するという、どう考えても今の経歴に傷しかつかない過去を、嬉しそうに告白する姿に、百々は完全に引いていた。
/912ページ

最初のコメントを投稿しよう!