会合

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その高見を頼るのは、一子も断腸の思いだったに違いない。 いまだに百々のことを「お孫ちゃん」、一子のことを「お母様」と呼ぶのは、亡き祖母を中心に人間関係をとらえているからで、その祖母のためだから動いてやっているのだというスタンスは変わらない。 死後もこんなに尽くされているおばあちゃんって凄いっていうか、こんな人を部下として使っていたおばあちゃんて何者ーー 猪突猛進、勇猛果敢な祖母だったとよく言われるが、幼い百々には穏やかで優しい祖母という思い出しか残っていなかった。 つまり、こんな人に付きまとわれていたおばあちゃん、気の毒、というのが百々の感想だ。 「おほほほほ、介護を引き受けてくださるなんて、ありがたいお言葉ねえ。ご心配いただきどうも。あなたより早くそれが必要になるかどうかはわかりませんけれど。」 「いやだなあ。僕の方が先に耄碌するとでも?あっはっは。お母様、相変わらず気だけはお若い。」 聞いている百々も、予定を合わせて同席した東雲も、二人の会話にひやひやした。
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