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「それで?またしても、お孫ちゃんが騒動にでも巻き込まれましたか?」
「またしてもって、失礼ですっ!」
百々が高見を頼ったことは、高校時代にたった一度である。
それを、何度もあるかのように言わないでもらいたいと、百々は抗議した。
ポケットの中の御守りに憑いている香佑焔は、あろうことか『似たようなものではないか。おまえのことをよくわかっている。』などと呟くので、百々は面白くない。
「自分が未熟なため、市長の手をお借りするような事態になり、大変申し訳ありません。」
百々がむっとしていると、隣で東雲が高見に頭を下げた。
東雲に非はない。
むしろ、辻のことが関わっているため、公の事件として扱えないのに、同僚に頼んで途中まで調べてくれたのだ。
「東雲さん、ちっとも申し訳なくないです。こちらこそ、うちの事情なのに、ほんと、迷惑かけごめんなさい。」
「自分、担当なんで。」
市長に頭を下げる東雲と、その東雲に頭を下げる百々。
そんな二人の様子に、高見がにやりと笑った。
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