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久保が退院後どうなったかは、百々も知らない。
一旦、両親が実家に連れ帰ることになったと東雲から聞いてはいるが、そのまま大学を休んだり辞めたりするのか、もう戻ってきているのかもわからない。
そのうち史生からまた情報が入るかもしれないと、今は待っている状況だ。
話を聞き終えた高見が無言で顎を指で撫でているので、百々は心配になった。
「高見のおじ様。信じられないかもしれないけれど、本当のことなんです。」
辻のことも、久保が憑かれたことも。
そこを信じてもらえないと、話を進められない。
慌てる百々に、高見は苦笑した。
「いやいや、信じるから、お孫ちゃんは心配しなくていい。お孫ちゃんのおばあ様であるあの方は、誰よりも現実主義者で目に見えないものの存在を全否定されるような方だったけれど、仕事に必要かつ有益であれば、己の信じていないようなものまでこき使うような方だったから。」
本当に猛々しくてご立派な方だよねえと高見はうっとりしたが、百々は自分の中の祖母像が変わってしまう気がした。
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