冴木晴樹(さえきはるき)

25/29

12565人が本棚に入れています
本棚に追加
/912ページ
両側の隣家の間に、高く厚い外壁が建てられていた。 あそこに史生がいるのかと思うと、百々はすぐにでも飛び込んで行きたい衝動に駆られた。 東雲の制止がなければそうしていたに違いない。 「いいですか。玄関までは自分も行きます。話も自分がします。ですが、おそらく自分は中に入れてはもらえないでしょう。」 弘雄が必要としているのは百々だ。 こんなに早く百々が訪れるとは、おそらく弘雄も思ってもみないだろうけれど、ここで逃すわけにはいかないと思えば招き入れられるだろう。 警察官が同行しているからと冷静に対処され追い返されないよう、何を言ってでも家の中にあげてもらおうと百々は思った。 「自分、待機してますんで。それと、スマホ。」 「あ、はい。」 百々は、自分のスマホを出した。 通話のアイコンをタップして、東雲にかける。 東雲も自分の携帯を取り出していた。 互いに繋がっていることを確認する。 「盗聴器というわけにはいきませんが、とりあえずこれで。」
/912ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12565人が本棚に入れています
本棚に追加