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両側の隣家の間に、高く厚い外壁が建てられていた。
あそこに史生がいるのかと思うと、百々はすぐにでも飛び込んで行きたい衝動に駆られた。
東雲の制止がなければそうしていたに違いない。
「いいですか。玄関までは自分も行きます。話も自分がします。ですが、おそらく自分は中に入れてはもらえないでしょう。」
弘雄が必要としているのは百々だ。
こんなに早く百々が訪れるとは、おそらく弘雄も思ってもみないだろうけれど、ここで逃すわけにはいかないと思えば招き入れられるだろう。
警察官が同行しているからと冷静に対処され追い返されないよう、何を言ってでも家の中にあげてもらおうと百々は思った。
「自分、待機してますんで。それと、スマホ。」
「あ、はい。」
百々は、自分のスマホを出した。
通話のアイコンをタップして、東雲にかける。
東雲も自分の携帯を取り出していた。
互いに繋がっていることを確認する。
「盗聴器というわけにはいきませんが、とりあえずこれで。」
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