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ドアが、内側から開く。
「やあ、いらっしゃい、百々ちゃん。」
弘雄は人当たりのいい笑顔を浮かべたつもりなのかもしれないが、充血した目を輝かせてにたりと笑うその顔に、百々はもう少しで悲鳴をあげるところだった。
人工的な明かりの下、肌の青白さが不健康なほどくすんで見える。
「ゆ、友人を探しています。こちらにお邪魔していませんか。」
「百々ちゃんのお友だち?知らないなあ~。いなくなったのかい?」
うそぶく弘雄の態度に、百々はいらっとした。
だが、ここに史生がいる証拠はない。
さっと見る限り、史生の靴は玄関には見当たらなかった。
「沼沢弘雄さんですね。自分、警察のものです。」
百々の後ろから、東雲が警察手帳を見せて部署と名前を告げた。
「ああ、生活安全課。百々ちゃんのお友だちならまだ10代だし、いなくなったのなら非行かもしれないしね。だったら、ここじゃなく若者が行きそうな店でも捜した方がいいんじゃないですか、おまわりさん。」
弘雄は、東雲を鼻で笑った。
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