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「それより、上がりなよ、百々ちゃん。遠慮することなんかないから。何と言っても俺たちは親戚同士なわけだし。」
血の繋がりなどまったくないが、弘雄の義父が百々の祖母の兄に当たる以上親戚の一人と主張されればそれは間違いとも言えない。
「お茶くらい出すからさ。帰りは俺が送ることだってできるし。だから、おまわりさんは百々ちゃんのお友だちを捜しにどこにでも行ってくださーい。」
やはり、東雲をあげる気はなく、百々だけ招き入れたいらしい。
態度があまりにも露骨だったが、弘雄はまったくおかしいとは思っていないらしかった。
証拠が何もなく令状もなければ、警察は介入できないと確信しているからか。
それとも、百々さえ得てしまえばあとはどうでもいいとでも思っているからか。
「・・・送ってもらえるんですね?」
不快感を飲み込んで、百々が尋ねる。
それに弘雄が飛び付く。
「免許もあるし、車を見せようか?」
弘雄が車を持っていることくらいわかっている。
徒歩や公共の交通機関を利用して史生をここに連れ込むことなど不可能だ。
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