境界の攻防の果てに

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「もしかして、警戒している?」 にやにやと笑う弘雄。 もちろん、警戒はしている。 何が入っているのかわからない飲み物を、こんな油断のならないところで飲む気になれるはずがないと、百々は頑なに手を伸ばそうとは思わなかった。 もし、このハーブティーの中に、薬物か何かが入っていたらどうなるか。 眠らされるか、身動きができなくなるか。 触れられたらどうしよう。 ポケットの中のスマホや御守りを取り上げられるかもしれない。 いや、それどころか、さらにおぞましいことを体にされるかもしれない。 強張った表情のままの百々に、弘雄が苦笑する。 「バリバリ警戒されちゃってるなあ。わかった、俺が半分飲むからさ。」 心外だよなあ、絶対に百々ちゃんを傷つけたりしないのにと、弘雄はぶつぶつ言いながら、百々に出されたお茶の半分を別のカップに移すとそれを飲んで見せた。 「ね?毒なんか入っていないよ。」 だってーー 「百々ちゃんには役目を果たしてもらわないといけないから。」
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