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「八重ちゃんが生き返ってさ、俺と八重ちゃんは幸せに暮らす、それに四屋敷の力を使えばいいって神様が教えてくれるためにあのクソ親父を俺の前に寄越してくれたんだよ、なあ、そうだろう、百々ちゃん。」
八重の名を繰り返す弘雄もまた自分に都合のいいことしか言っていない。
「そんなことに、四屋敷の力は使えないし、死んだ人は生き返りません。」
「・・・・・・・・・・・・なんで?」
こてん、と。
不思議そうに弘雄の首が傾げられた。
死んだ人間を生き返らせることなどできない、そんな当然なことに本心から何故と言ってしまえる弘雄に、百々はさらに嫌悪と恐れを強めた。
気持ちが悪いと思っても。
怖いと思っても。
それが底に到達することがない。
どこまでも度合いが増していくばかりだ。
「試してないだろう?やろうよ、百々ちゃん。八重ちゃんさえ呼んでくれれば、体はあるんだよ。」
「え・・・」
もう少し八重ちゃん似の顔を見ながらお茶をしたかったんだけどねと、弘雄が椅子から立ち上がって歩き出したので、百々もその後ろについていった。
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