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「面倒くさいことに、2階でさあ。俺もしくじったよね、ごめんなあ。」
玄関の横の階段の下で、弘雄が止まった。
どうやら、2階に上がるらしい。
上は真っ暗で明かり一つついていない。
そんなところに上るのかと、百々は躊躇した。
「あ、ごめんごめん。初めての場所だもんなあ。暗いと百々ちゃんだって動けないよな。」
百々の様子に、弘雄はあっさり階段の明かりをつけてくれた。
「ついておいでよ。もう全部揃っているんだ。」
弘雄が先頭になって階段を上っていく。
先に百々を上がらせて、後ろから何かを仕掛けてくる訳ではないらしい。
百々は、ともすると震えそうになる両膝を、拳で叩いて気持ちを奮い立たせた。
上に史生がいるのならば。
階下の自分にも感じられないほど音一つ立てられないようにされているのならば。
助け出さなくてはならない。
百々は、弘雄が半分ほど上ったあとについて、足を踏み出した。
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